阿部のメルマガ

格差とモノの価値

1.世界の格差

格差、という言葉を用いると、持つ者、持たざる者といった印象があるでしょうか。今考えているのは、先進国と途上国についてです。たとえば、スマートフォンはいかがでしょうか。当然、その存在の価値は変わりません。しかし、10万円のスマートフォンを買える層が先進国には豊富にいるのに対し、途上国では4万円のものを購入できない層が豊富にいます。かつてはこれはそのまま「格差」で良かったのですが、現在ではここに、マーケティングの逆転が起こっていると考えています。2万円のスマートフォンを途上国に投入できれば、その市場は独占できるということになります。現在、世界のスマートフォンのシェアをみてみると。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ae0a464667ccce36b309693e62c81c874fce9d29“層”はますますはっきりと分割されつつある、という印象でしょうか。

2.モノの価値

世界的にみれば、10人いたら1人がアップルをもっている計算です。3人がサムスンです。これをマクロにみれば、iOSとAndroidの戦いということになります。ファーウェイがGoogleを使えなくなったとはいえAndroidが圧倒的大勢を占めるのはメーカーみれば明らか。わずかでありながらも、急速に増えているのが中国勢の独自OS(使わざるを得なくなったため)という構造。逆に言えば、中国製OSはとんでもない追い風です。OSの産出国という単位で見れば(組み込み系は日本が作っているTRONが世界シェアが大きいのですが、まあアメリカですね陣営は)、実質的に中国とアメリカしか世界に存在しないも同義で、中国系OSを使っている層はこれから爆発的に増えていきます。しかし、OSだけみればアメリカOSを使ったスマホで安価なものもたくさんあります。市場競争はつねに熾烈ですね。

3.課題

現状は、平均所得に応じて手に入るスマホがほぼ決定してしまいます。だからこそ、中古市場が注目されますが、メーカーとしてはこれだけのスピードで進化する品物の過去製品全部のサポートはほぼ現実的ではない。従って、中古市場の製品は早晩スペック的に物足りなくなってしまう。だからこそ、「スペック的にも先進で、かつ、安価で新品なスマホ」を欲する人々の方が中古を欲する人よりも多くなるでしょう。その「安価で新品なスマホ」という単位で見た時の品質最高というレベルに中国がいるわけです。中国には発展途上国マーケットを独占するための、先進国にないマーケティングノウハウをもっていることはほぼ間違いない。たとえば、先日拝見して驚いたのが中国メーカーが作っている全自動の溶接機械。世界トップメーカーだと6000万する機械で、中国製は1000万でした。数年前には比較すらできない代物でしたが、加工品質はもはや遜色ない。実際に拝見しましたが、驚愕するレベルです。もちろん、毎年品質は向上するでしょう。低コストで高品質なものを作れるノウハウそこにある、ということです。漠然とした強い不安を感じています。残念ながらコロナになって、現地に行けない状態が続いていますが、今、様々な途上国マーケット、中国の製造の現場やアジア圏の現場を見に行かねばという焦燥感でいっぱいです。行動によって、知見をためる時代が”今再び”の様相です。

今回もご一読頂き有難う御座いました。皆様のより一層のご繁栄を心よりお祈りしております。引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。